ジン太郎の話

どう生きて行くのか、多様な世の中における人生の探求録

臨時休校よって困る人達:正解のない問題⑤

おはようございます。

今日で2020年3月1日です。コロナウィルスが大変です。

さて、コロナウィルスといえば先月(2月)末にぶったまげるニュースがありました。

ご存知だと思いますが、それは政府による「3月からの学校の臨時休校要請」です。

本件に関してはジン太郎も当事者の一人といえるので(後述)皆さんに知って欲しいことがあり、この記事を書いてます。

 

先に言っておくと、ウィルス拡大にあたり、学校という多くの人間が集まる場所を止めることは別に不思議とは思いません。ここの賛否については今回は置いておきます。

一応今回の騒ぎについてザックリまとめると。

政府「3月から学校休校して!」

学校「え、3月って来週(正確には4日後)だよ!?こちとら成績処理やら卒業式やら授業やら年度末のあれこれやらいろいろ残ってんだよ!?いきなりすぎじゃない!?」

保護者「え、3月って来週(正確には4日後)だよ!?うちの子一人で留守番なんて無理だし仕事はそんな急に休めないよ!?いきなりすぎじゃない!?」

 

いきなりすぎじゃない!?

 

つまりタイミングが”いきなり”過ぎたんですね。本当にいきなりすぎたんですね。

学校も自治体も今後の方針について様々な対応に追われ、この週末は怒涛の日々だったことでしょう。

今でも休まずに動いているところもあるのではないでしょうか。

関係各所の方々には、もう本当に本っっっっっ当に頭が上がりません!!

 

では本題。

僕ことジン太郎は本件に関してどのような当事者で、何を伝えたいのか。

まず僕の仕事をザックリ説明しますね。

自己紹介の記事でも述べてように、児童支援員やりながら通信制大学に通っています。

仕事については簡単にいうと

何らかの障害や精神疾患、家庭の事情や不登校などなど様々な理由によってによって日中に家や学校にいることができない。

そういった子供たちを施設で預かり、個々に応じた発達支援を行い、夜にご自宅に送り届ける仕事です。

分野としては福祉・療育・教育等。該当するイメージとしては学童保育や放課後デイサービスなどがわかりやすいかと

 

勘の良い皆様ならば話が見えてきたのではないでしょうか?

本タイトルで述べる「臨時休校によって困る人達」とは保護者と”上記のような支援者達”です

家にいることができない子供たちの親は、学校の代わりに支援の事業所を頼りにすることがあります。

その考え自体はある種当然のものとして理解しております。例えば作日(2月29日)時点で厚生労働省学童保育にそういった対応を求めています。

 

 

僕が今回みんなに知って欲しいのは

「親оr支援者達に子供のこと全部丸投げはヤバくない?」

「やっぱり社会のみんなで協力しないと無理」

です。

 

お話しする前に抑えてほしい前提としては ↓

  • 今回の休校は感染防止のためである。
  • 支援事業を利用するような子供達は年齢や障害、家庭環境、その他もろもろの事情で子供だけで留守番ができない。
  • 支援事業所は弊社ふくめ多くの場合(一部例外を除き)、基本的に平日の利用時間は午後から半日(放課後など)、土日祝日は終日。で運用している。
  • 全部の学校の学級が丸1日休むわけではない。

これを踏まえ、支援事業所の利用時間は僕が考える限り”次のような議論フェイズに移ります。

支援事業所も利用を停止:集団感染拡大防止のために休校しているのだから、必然的に支援施設にも子供が集まる状況は避けるべきという議論

  できない場合

通常運用で利用を継続:共働きやひとり親世帯あるいは職種の関係等、いきなり仕事を休めないご家庭もある。そういった事情がある子供だけでも通常(状況に応じて延長)利用することはできないかという議論

  できない場合

利用時間を拡大:ほとんどの保護者は仕事を休めず、子供の面倒を見ることができない。休校になった時間分、平日時の午後から半日利用を、常時土日祝日時と同じ終日利用に変更するかどうかという議論

 

わかりやすく言うと、

  • フェイズ➀家庭で子供を終日全部見る。
  • フェイズ②家庭と支援者で子供を半日(可能な範囲で延長)ずつ見る。
  • フェイズ③支援者が子供を常時終日見る。

です。

しかしそれぞれの実現には次のような課題が考えられます。

 

①の課題:家庭に子供たちの面倒を”1日”見ることができる人(保護者)、時間や場所等の環境が”常時”整備されている必要がある。

②の課題:家庭とに子供たちの面倒を”半日”(午後は支援事業所に預けるため)見ることができる①と同じような環境が整備されている必要がある。集団感染リスクへの懸念。

③の課題:支援事業所に子供たちの面倒を”1日”見ることができる人(スタッフ)、時間や場所や等の環境が”常時”整備されている必要がある。集団感染リスクへの懸念。

 

つまり子供を見る時間が増えた分だけ、①は家庭(保護者)の、③は事業所のリソースを大幅に確保しなければなりません。②はその中間と認識しています。

 

 もちろん多くの人間にとっては①の実現が理想です。

なんせ家にいるので感染リスクを最小限に抑えることができますからね。

しかしこれの実現にはまず保護者の環境、休める職場やテレワークなどの在宅勤務を可能にするといった、学校や支援事業所以外の組織の協力が必要となります。

 

しかし現実的に考えると②に着地するのが妥当かもしれません。

何故なら実際問題全ての親が1日休めるわけではないから。

例えば子供の何らかの特質、医療関係の人や親自身の健康状態の関係上どうしても、、、、って家庭はどう頑張っても一定数存在するので、そういう人達が支援事業所を頼りにするのは自然な流れだと思います。

僕自身もそういう状況の子供を支援することがこの仕事の意義だと思っているので。互いに協力しあうべきでしょう。

 

そして最悪な選択が③だと思っています。

まず政府の当初の目的である感染防止の意味を完全に失います。

なんなら学校と比べて場所が狭い分感染リスクが増します。

そして現実問題として多くの事業所は毎日丸1日子供が利用できるようにするための物理的リソース(主に人)はありません。

だって普段必要ないもん。

支援事業所の多くは支援を必要とする子供の人数、個性、滞在時間に応じた人員を配置し、事前に支援の専門的準備を行います。

誰かが長く仕事すれば解決する話ではありません。

言ってしまえば、学校や保護者が子供を見れなくなった分を支援者に丸投げしても、支援者側も元のキャパを超えているから無理なんですね。

自治体によっては小学校教員をヘルプに行かせるところもあるそうですが、現場に言わせると互いに仕事内容が違いすぎて戦力になるか怪しいです。

 

 

 

僕の仕事場では今週末行った幹部含めた職員会議の結果、②になりました。通常時より利用開始時間と就業時間を短縮する方針となりました。

全員の常時終日利用にならなかった理由は、上記に述べた通り感染リスクと、人員的に終日運営が不可能だからです。

もちろん日頃から支援を必要としているようなご家庭が今回のような事態に対応するのは決っっっっして容易ではありません。

ここに至る背景にはそれぞれのご家庭やその方々の働く職場や地域といったその人たちを取り巻く社会環境の人々の理解と協力がありました。

本当に感謝しています。

なんなら人情に触れたような気がしてちょっと泣きそうです。

 

 

ん?ジン太郎のとこは解決したの?ならよくね?

とはならないですよ!!

 

 

何度も言ってますが、うちの所がこのような形で落ち着いたのは、

支援者や保護者や周りの人々のみんなが協力してくれたからです!!

 

全ての事業所がこうなるとは限らないでしょう。

一番怖いのは

「自分の所の子供のことくらいなんとかしろ」

と保護者が学校からも職場からも見捨てられて、行き場をなくしたり

「お前らは行政からこういう時のために金もらってんだから当たり前だろ!!」

みたいなわけわかんない理屈がまかり通ったりして

支援事業所の許容量を大幅に超える人数、時間に子供達が押し寄せて、それに対応しきれなかったがために、子供たちの身に何らかの不幸な事故が発生し支援者たちも不当に責任を追及される。

といったパターンです。誰も救われないですね。

地域によっては一年生の半分近くが学童保育に通っているところもあるそうですし、

日本の場合、共働きの核家族&一人親の家庭の比率は各都道府県でも半分近くを占めている世の中なので全然あり得ると思います。

 

すでに同様のことを懸念して方針を打ち出している自治体もありますが、

当事者の一人として、こういった状況を避けるのは、学校や支援事業所だけの課題ではなく、社会全体の課題だと再認識したので少しでも知ってもらえたらと思います。

そんだけです。 

 

 

あなたはどう思いますか?