ジン太郎の話

どう生きて行くのか、多様な世の中における人生の探求録

教員はまず増員とかいう前に仕事のやり方を現代化した方が良い:正解のない問題④

「スタッフを増やすという事は、その分求められる成果のハードルが上がるという事だからね。期待しているね。」

これは以前私が勤めていた職場で大変お世話になった上長(エリアマネージャー的な)が、私に言った言葉です。 

 

おはようございますジン太郎です

今回は学校の働き方改革について今のうちに現在(2019年9月)の自分の考えをまとめておこうと考え、思考整理も兼ねてブログに上げました。

私はニュースや大学での研究等で、学校教員の多忙問題が扱われるたびに、思い出す言葉が3つあります。

1つは冒頭で述べた上司の言葉。もう1つが以前教育実習中に生徒が言っていた

「先生が達が忙しすぎて何も相談できない」

です。当時私は生徒から様々な悩みを聞きましたが、これが特に多かったと思います。

そして3つ目が

USBメモリって何?あとPDFファイルって何?業務にオンライン使うって最先端技術すぎない?」

でした。これは学年主任(管理職の一つ)の教員が言った言葉です。

 

 目次

 

世間で周知されている現状のおさらいです

みなさん、学校の仕事についてはブラックなイメージを持っていませんか?

イメージというより事実でしょう。いやホントご多忙な先生方には頭が上がりません。

2018年のOECDの調査データにもある通り世界基準でも日本の先生は教員の中でダントツ世界一の長時間勤務をしています。

まずは教員の勤務時間に纏わる様々なデータを見て、私が気になった所をまとめます。

・日本の教員は世界の教員と比べて世界一勤務時間が長い

・勤務時間の内訳で授業や授業準備の時間は約40%と国際平均を下回っている(例:イギリスは70%)

・事務作業は国際平均の2倍、課外活動は3倍以上の時間を割いている。

・80時間以上の時間外業務は(文科省が把握している範囲で)中学校教員は6割を超え、この10年間で17〜20時間も勤務時間は増えている。

・海外の学校は50〜60%を教員、残りを専門スタッフ分業しているのに対し、日本は80%以上を教員が業務を一貫して行なっている。

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とにかく上から降りてくる事務仕事が多すぎるようです。

日本教員の仕事は年々増え続けて、先に述べた通り実態としてとうとう部活動にすら時間を割けない教員まで現れつつあります。

部活動の是非については色々意見が分かれる所なので、今回はその部活の時間すら蝕む事務作業等についての話を中心に述べることにします。

 

世間の反応

 

最近の学校関係のニュースの中に変形労働時間制についての話が出ていますね。変形労働時間制についての記事はこちらがわかりやすいと思います。関連性のある話題は、文部科学大臣による9月11日の記者会見です。

私が気になったのは、この後の学校の働き方改革についての言及でした。(文科省YouTubeチャンネルに当時の会見映像があるので出典としてリンクをここに貼ります。動画の31:30からです)

大臣がここで述べた事を簡潔に求めると

・教員志望者を増やすためにもっと仕事の魅力を伝えていかねばならない。

・教員達は事務作業などに時間を取られすぎて子供と向き合う時間がない。

・解決するにはしっかり体制を作っていかねばならない。

マンパワーの投入してでも変えていく。

・教員採用試験の倍率低下の理由は、学生時代から学校現場が大変という先入観を持ってしまっている部分もある

でした。

最後に関しては「先入観じゃなくて本当に大変だよ」という反応が多かったです。

マンパワーとは事務作業などをやるスタッフのことなのか教員の増員のことなのかはわかりませんが、少なくともいずれも大事なことを仰っているとは思います。

このように世間は教員ブラック問題に向けられ、先の労働時間や給特法継続の是非など、労働に関する制度改革や業務削減等の様々な案が議論、検討されています。

分業にもようやく目を向けられ、事務職員やスクールカウンセラー・ワーカー、外部支援員など、国は関連機関や専門家との連携の方針を示しました。

示してくれたはいいけどいつになったら体制が整うのやら…。

 

 ジン太郎の意見

先に結論から言いますと、

「まずIT機器とインターネットくらい使えるようになろうよ」

です。

学校現場を知らない方や、大学卒業してそのまま教員になって、今まさに多忙な業務に追われている方からしてみれば「え?お前何言ってんの?」と思うかもしれません。

いや別に難しい事を言っているわけではありません。

例えば「業務連絡はメールで行う」や「書類やデータをオンライン化して共有する」とか一般社会、一般企業で行われているレベルの話です。

この主張に至った経緯をお話ししますね。

 

jintarou-tai-gun-sai-yo4.hatenablog.com

 

上の自己紹介の記事で話した通り、私は通信制大学に在籍してます。通信制って誤解されやすいのですが、普通の大学ほどの頻度ではないにせよ、通学して授業を受けることも結構なスパンであるんですね。

なので教室には多くの社会人が集まって講義を受けたりします。中には現職の教員がキャリア拡大目的でいらしたりします。

ある日の合同研究で教員の業務について話し合いました。

多くの社会人が、様々な資料や、教育実習での現場体験、校長や教頭、学年主任など管理職含めた現職の教員複数名から話を直接聞くなどの客観的データと主観的意見を統合し、調査をしました。そして出た結論が

「部活動とか課外活動除けば業務量自体そんな多くなくない?」

だったんです。なんか炎上しそうな発言ですね(笑)。

なんなら「相対的にみれば業務量はホワイト寄りだと思う」って言う方もいました。

もちろん先生方の勤務時間は相対的に見たらドブラックだと思います。36協定を3ヶ月でブチ抜く事もあると言う全然笑えない状況です。

ただ我々に共通していた意見は

「仕事のやり方はまだまだ改善できる」

でした。たくさんありますが一番多かったのは、アナログ管理が多すぎる事です。

例えば事務仕事って報告だったり記録残したりというのも多いと思うのですが、

学校ってその連絡手段がファックスだったり、手紙だったりするんです。手紙に関しては学校に専用のポストがあって専門の配達員が学校に回収しに来ます。一部を除いてメールでのやり取りが少なく、なんなら電子書類をメールに添付して送る方法を知らない先生までいるんですね。Wordやエクセルが最近ようやく慣れたレベルです。それが冒頭の3つ目の発言に繋がります。2017年にようやくウィルスセキュリティを導入する学校まであります。

比較的若手の先生方はある程度扱えますし、実際授業ではパワーポイントなど用いた勉強法が多々実践されています。

しかしICTを日頃の業務に落とし込むという裁量はこの人達にありません。そういう発想が思いつかない、あるいは思いついても立場上改善案を出せないような作りになっています。

この人達は「業務改善を考えるのは自分たちの仕事ではない。上の仕事だ」と認識している可能性さえあります。

これは学校という組織が閉鎖的な上に、一般企業と違い競争相手がいないため、「もっと仕事を効率的にして高い成果を出そう」と言ったインセンティブが働かないからです。

個人的には、この前時代的な運営体制に関しては別に先生方が悪いとは思っていません。

それが評価されるわけでもない世界にいれば、そうなってしまうのは仕方ないでしょう。この人達にとっては、おそらくこの現状が疑問の余地がない当たり前なのです。

実際部活や課外活動等で疲弊しきっていてそんな力が残ってないのも事実です。

 

 しかし時代の変化によって学校側のニーズが多様化しているのに対し、学校側の業務運営体制が変化しないのであれば教員の労働時間が増加するのはもはや必然です。それは学校に限らずどの仕事だってそうです。

・ペーパレス化を進める

・書類や情報共有はイントラネットで統一する

・連絡は基本メール

・会議はいちいち出張しないで可能な限りテレビ会議にする

・書類をいちいち読み上げないで、各自読んだらサインとかにする

・めちゃくちゃ量のあるらしい教育委員会からの調査絡みのアンケートもオンライン化(してるのかな?)する

などなど他にもまだまだあります。

別にICTに限らず、非合理的な事はあげてたらキリがなさそうでした。

実際導入や改善している学校や地域はあるそうなんですが…。現地の先生曰くノウハウの共有をする暇なんてないそうです。

たしかに学校がベンチャー企業みたいな意思決定プロセスであれば、さすがにどうかと思います。

それにしても我々の目には業務レベルが一般社会から乖離しすぎているように見えました。

これらの主張をすると大概

「口で言うのは簡単だけど…」、「そうは言っても上が動いてくれないんだよ!」、「我々にはどうしようもできない」、「比較的上の年齢の先生が置いてかれる」、「こんだけやってるのにこれ以上どうしろと?」、「そんな力残ってない」

とかの返答が返ってきます。実際ICTについていけず辞める先生もいらっしゃるそうです。

それでもどこかからアプローチしなければ変わりません。

 

文科省はICT導入を掲げており、そのための専門員も用意しようとしてはいますが、そもそもその知見が充分にあるのかもわからないし、この調子だと導入された頃にはすでに時代遅れなシステムになるのではないかと勝手に予想しています。

 

文科省の見解の動画はこちら

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そもそもいくらルールを変えようが仮に給特法を廃止しようが教員の仕事が減るわけでもなければ、学校教育のニーズが変わるわけではありません。

もちろん制度改革は長期的にみれば理不尽なニーズや的外れな仕事の依頼から教員を守る上でとても大切です。熱心で子供思いな先生が過労死なんて絶対にあってはならないです。

ただ、業務の効率化や合理化の工夫と努力を最大限行わずに「制度を変えろ、人員を増やせ。」という主張には違和感があるのです。

 

本記事の最初に述べた上司の言葉は、以前私が職場での人員不足を相談した時に言われた言葉でした。人を増やしたのであれば、その分以上の売上と業務改善を求められるのは当然だと思います。

教員も仕事である以上、成果に向けて生産性を最大限上げなければ、そのしわ寄せは子供達に行きます。

「改善は上の人の管轄だ」と他責にし続ければ、また「先生達が忙しすぎて何も相談できない」と言う子供が増え続けるでしょう。

学校教育は誰の為なのでしょうか。

 

とはいえ過酷な現場の先生方に何かを変える気力や体力が残っているのかは疑問が残るのも事実です。

 

私も改善に向けてのより具体的で実践的なアプローチがないか勉強しております。

 

少しでも改善の動きをする人が、今後の教員志望者や管理職。学校のルールを決める偉い人たち。現職の方々に増える事を祈ります。

ぶっちゃけ自分でもかなりメチャクチャな事を言っていると思います

とりあえず言いたいことは一通り言ったので帰ります。

 

あなたはどう思いますか??